法定開示書面とはどのような書面か

フランチャイズビジネスの展開を考えた時に、フランチャイズ契約書と同時に用意をする必要性のある書面に、法定開示書面があります。

法定開示書面については、「フランチャイズ契約の要点と概説」、「契約のあらまし」や「情報開示書面」と呼ばれることもあります。

フランチャイズ契約書があるのに、フランチャイズ契約書とは別に書面がいるの?と思う方もいらっしゃると思います。

そこで、本記事では、法定開示書面について説明をします。

法定開示書面とは

法定開示書面とは、その名称からもわかるように、法律上定められた情報を開示する書面のことをいいます。

具体的に何の法律に定められているかですが、「中小小売商業振興法」、「中小小売商業振興法施行規則」及び「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」に定められています。

独占禁止法の開示事項に関しては、公正取引委員会が、「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(https://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/franchise.html)を公表しています。

この「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は、通称、フランチャイズ・ガイドラインと呼ばれるもので、このフランチャイズ・ガイドラインの中にも、開示すべき事項が公表されています。

法定開示書面は、加盟希望者が、これから加入をすることとなるフランチャイズチェーンの内容を理解するための書面です。

不動産の賃貸借契約を締結したことがある方であれば、イメージしやすいかと思いますが、不動産の賃貸借契約を締結する際に、宅建士から説明を受ける重要事項説明書のようなイメージです。

法定開示書面の作成はなぜ必要か

法定開示書面がどのような書面かがわかったところで、以下では、法定開示書面の作成はなぜ必要かについて説明をします。

前述のように、法定開示書面は、中小小売商業振興法、中小小売商業振興法施行規則及びフランチャイズ・ガイドラインに規定されています。

中小小売商業振興法では、法定の事項の開示を行うべき主体について、「特定連鎖化事業」を行う者(中小小売商業振興法第11条第1項本文)と規定されています。

そして、連鎖化事業とは、中小小売商業振興法第4条第5項で、「主として中小小売商業者に対し、定型的な約款による契約に基づき継続的に、商品を販売し、又は販売をあつせんし、かつ、経営に関する指導を行う事業をいう。」と規定されています。

上記の「商品を販売し、又は販売をあつせん」との文言との関係から、一般的に、法定開示書面の作成の義務を負うのは、商品の販売又は販売の斡旋を伴う、小売業や飲食業のフランチャイズチェーンであると考えられています。

そのため、小売業や飲食業のフランチャイズチェーンは、法律上の義務として、特定の情報の開示を行う必要があるのです。

なお、サービス業のフランチャイズチェーンは、一般的に、中小小売商業振興法、中小小売商業振興法施行規則の対象とはならないと考えられています。

ただ、中小小売商業振興法の適用を受けないサービス業のフランチャイズチェーンでも、独占禁止法上の規制の対象となり、フランチャイズ・ガイドラインの中で、「独占禁止法違反行為の未然防止の観点からも,加盟希望者の適正な判断に資するよう本部の加盟者の募集に当たり,次のような事項について開示が的確に実施されることが望ましい」とされています。

また、法定開示書面の作成をすることにより、加盟希望者から、信頼できるフランチャイズチェーンであると認識してもらえる可能性があります。

さらに、本部が、加盟希望者に対し、法定開示書面にしたがい十分な説明を行うことにより、本部と加盟者とのミスマッチを防ぐことができ、加盟後にトラブルが生じることを未然に防ぐことができる可能性が高まります。

また、日本経済新聞社が主催し、毎年開催されているフランチャイズ・ショーに出展をお考えの事業者の方につきましては、初出展の場合には、法定開示書面の提出が必要となります。

フランチャイズ・ショーは、加盟希望者との接点を持つ重要な機会となりますので、出展をお考えの事業者の方は、早めに法定開示書面を準備する必要があります。

まとめ

以上、法定開示書面について説明をしました。

法定開示書面については、フランチャイズ契約書の内容を記載する必要がありますので、フランチャイズ契約書を完成させてから、作成をすることとなります。

記載すべき事項につきましては、中小小売商業振興法、中小小売商業振興法施行規則及びフランチャイズ・ガイドラインにしたがう必要があり、専門的な知識が必要となります。

当事務所は、法定開示書面の作成を得意としておりますので、法定開示書面の作成をお考えの事業者の方は、当事務所までお気軽にご連絡ください。

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