フランチャイズ・ビジネスにおけるロイヤルティの設定方法は

フランチャイズ・ビジネスにおいて、本部から見ても、加盟店から見ても、ロイヤルティに関する内容は、重要な関心事だと思います。

そこで、本記事では、フランチャイズ本部の立ち上げを考えている事業者の方を対象に、フランチャイズ・ビジネスにおけるロイヤルティの設定方法を紹介します。

ロイヤルティとは

ロイヤルティについては、フランチャイズに関する業界団体である一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会のフランチャイズ用語集で以下のように定義されています。

「特許、商標、ノウ・ハウ、著作権、経営指導等を目的とする種々のライセンス契約やフランチャイズ契約においてライセンシーまたはフランチャイジーが支払う対価をいう。特許やノウ・ハウのライセンスにおいては「実施料」商標や著作権のライセンスにおいては「使用料」ともいう。一般にはライセンスやフランチャイズの対価のうち定額払いのものに対して、特定の基準に一定の率を乗じて算出するものを「ロイヤルティ」(royalty)またはランニング・ロイヤルティ(running royalty)と呼んでいる。著作物の出版において出版社が著者に支払ういわゆる「印税」は、ロイヤルティである。

「ロイヤルティ」の語は、ライセンスやフランチャイズのほかに資源開発契約やその他の場合にも使われることがある。」

(https://www.jfa-fc.or.jp/particle/3624.html)

フランチャイズにおいては、一般的に、以下の対価と考えられることが多いです。

①商標等の使用の対価

②ノウ・ハウの使用の対価

③継続的経営指導の対価

ただ、ロイヤルティを何の対価とするかは、ビジネスの内容に合わせて検討を行う必要があります。

例えば、広告宣伝費などに関しては、ロイヤルティに含む形でロイヤルティを設定している本部もありますし、ロイヤルティとは別に広告宣伝費を徴収している本部もあります。

ロイヤルティの設定方法の種類

ロイヤルティの設定方法の種類としては、大きく分けて、以下の4つが考えられます。

① 定額方式

② 売上総利益方式(総売上利益方式)

③ 売上歩合方式

④ 純粋粗利方式

定額方式とは

定額方式は、読んで字のごとく、売上や利益に関わらず、本部が、加盟店から、定額のロイヤルティを徴収する方式です。

定額方式のメリットとしては、本部が加盟店の売上や利益に左右されず安定した金額を受け取ることができる、加盟店のモチベーションアップにつながる、経理処理の負担が比較的小さくて済むという点があげられます。

他方、デメリットとしては、出店したばかりの加盟店にとっては、ロイヤルティが大きな負担となってしまう可能性がある、本部にとっては、加盟店の売上や利益が大きくなってもその分徴収できるロイヤルティの額が増えないという点があげられます。

売上総利益方式(総売上利益方式)とは

売上総利益方式(総売上利益方式)は、売上総利益を基準に、一定の料率に基づいて、ロイヤルティの金額が算定される方法です。

売上総利益については、以下の計算式により算定されます。

売上総利益 = 売上高 - {売上原価 - (廃棄商品額 + 棚卸ロス商品額)}

売上総利益方式(総売上利益方式)では、利益率の低い売上については売上高から除外する方法や、売上総利益の額に対応して、ロイヤルティの料率を変更する方法などが考えられます。

売上歩合方式について

売上総利益方式(総売上利益方式)については、売上総利益を基準としましたが、売上歩合方式は、売上高を基準に、一定の料率に基づいて、ロイヤルティの金額が算定される方法です。

売上歩合方式についても、売上総利益方式(総売上利益方式)と同様、利益率の低い売上については売上高から除外する方法や、売上高の額に対応して、ロイヤルティの料率を変更する方法などが考えられます。

純粋粗利方式とは

売上高から売上原価を引いた粗利益を基準に、一定の料率に基づいて、ロイヤルティの金額が算定される方法です。

ロイヤルティの算定方法はどれがよいか

上記のように、ロイヤルティの算定方法を4つ紹介しましたが、結局どれがよいのでしょうか。

フランチャイズ・チェーンは、「フランチャイズ契約書の重要性について」の記事でも紹介したように、業種ではなく、業態です。そうすると、異なる業種間で、同様のロイヤルティの算定方法でよいのか十分に検討をする必要があります。

また、フランチャイズ・チェーン毎に、様々なバリエーションが考えられ、フランチャイズ本部がどの程度の規模なのか、どのようなビジネスモデルなのか、どのような収益構造なのか、フランチャイズ本部がどの程度の規模のチェーンを目指しているのか、フランチャイズ加盟希望者へのセールスの方法はどのような方法か、など様々な要素を考慮し、ロイヤルティの算定方法を決定する必要があります。

そのため、一概にどのロイヤルティの算定方法がよいということは困難であると考えられます。

フランチャイズを専門的に扱っていない弁護士であると、フランチャイズ本部の立ち上げを考えている事業者の意向を、検討もせずにそのままフランチャイズ契約書に反映させてしまうケースもあります。このような状況ですと、長い目でみれば、本部は、得られるはずであった利益を得ることが出来ていなかったという状況が生じる恐れがあります。

まとめ

以上、フランチャイズ本部の立ち上げを考えている事業者の方を対象に、フランチャイズ・ビジネスにおけるロイヤルティの設定方法を紹介しました。

当事務所は、フランチャイズに関するノウハウの蓄積があります。

そのため、フランチャイズ本部の立ち上げをお考えの事業者の方の意向を尊重しつつ、最もよい仕組み作りのお手伝いをさせていただくことができますので、フランチャイズ本部の立ち上げをお考えの事業者の方は、当事務所までお気軽にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました