フランチャイズ契約において、ほとんどのケースで加盟金が設定されていると思います。
ただ、加盟金について、よく検討して設定しなかったことによりトラブルに発展するケースがあります。
そこで、本記事では、フランチャイズ本部の方を対象に、フランチャイズ契約における加盟金について説明をします。
加盟金とは
加盟金とは、広い意味で考えますと、加盟希望者が、フランチャイズ本部に対し、フランチャイズ契約を締結する際に、支払う金銭のことをいいます。
具体的には、以下のような性質を有するものと考えられます。
①フランチャイザーが、フランチャイジーにノウハウを開示することの対価
②フランチャイザーが、フランチャイジーに自己の商標やサービスマークの使用を許諾することの対価
③店舗のデザイン、設計、内装デザインなどの店舗に関する指導の対価
④フランチャイザーが開業前に行う研修等に関する対価
⑤フランチャイザーが開業前に行うその他の支援に対する対価
⑥フランチャイザーが、フランチャイジーに対して営業権を付与することの対価
加盟金条項をフランチャイズ契約に規定する場合の留意点
フランチャイズ契約書の中には、加盟金に関して、例えば、以下のように規定されているケースがあります。
1.フランチャイジーは、フランチャイザーに対し、加盟金として、金○○○万円を支払う。
2.前項により、フランチャイザーに支払われた加盟金は、理由の如何を問わず、返金されないものとする。
上記の規定は、特に問題が無いようにも思えます。
ただ、第2項の加盟金不返還条項との関係では、第1項の規定を慎重に規定する必要があります。
そもそも、フランチャイズ契約において、フランチャイザーとフランチャイジーは、共に事業者ですので、原則として、消費者契約法等の消費者保護に関する契約の適用は受けません。
そうすると、フランチャイザーとフランチャイジーがフランチャイズ契約書の中で、加盟金不返還条項を規定した場合、原則として、加盟金不返還条項は、有効であると考えられます。
ただ、加盟金の金額と、フランチャイジーが実際に受けた対価の対価性を著しく欠く場合には、加盟金不返還条項は、暴利行為であり、公序良俗に反し、対価性の認められない金額に関する範囲は、無効であると判断した裁判例もあります。
上記の条項では、加盟金が、何に対する対価であるかが不明です。
何に対する対価であるかが不明であると、フランチャイズ本部としては、対価性に関する具体的な主張を行うことが難しくなるため、ケースによっては、加盟金不返還条項が、無効と判断されてしまう可能性があります。
加盟金に関する条項について、加盟金が、何に対する対価かを明確にしておくことにより、フランチャイザーとしては、対価性が認められる範囲を具体的に主張することができるようになり、加盟金不返還条項が無効であると判断されることを回避できる可能性があります。
また、加盟金不返還条項が無効と判断されるようなケースであっても、加盟金不返還条項が無効と判断される範囲を狭くすることができる可能があります。
まとめ
以上、フランチャイズ本部の方を対象に、フランチャイズ契約における加盟金について説明をしました。
加盟金条項の設定については、フランチャイズ本部の事情に合わせ、金額や何に対する対価であるかなどの内容を検討し、決定をする必要があります。
加盟金条項の設定については、専門的な知識が要求されますので、まずは、お気軽に当事務所までご連絡をいただければと思います。