様々な事情から、離婚をしたいと考えている方もいると思います。
相手方が、離婚に応じてくれる場合には、円滑に離婚をすることができます。
ただ、相手方が離婚に応じてくれない場合には、離婚調停や離婚裁判を行い、離婚を成立させる必要があります。
そこで、本記事では、離婚を考えている方を対象に、法律上どのような場合に離婚が認められるかについて説明をします。
離婚の方法について
離婚の方法については、以下の3つの方法が考えられます。
①協議離婚
②離婚調停による離婚
③裁判による離婚
離婚の中では、①協議離婚によって離婚が成立する割合が多いです。
ただ、①協議離婚については、当然のことながら、当事者間で協議が成立する必要性があります。
当事者間で協議が成立しない場合には、②離婚調停による離婚や③裁判による離婚により離婚の成立を目指すことになります。
また、②離婚調停による離婚の場合でも、裁判所が介入した上で、当事者間の合意を目指す手続きになります。
そのため、②離婚調停による離婚によって離婚の成立を目指す場合でも、当事者間で意見の対立が生じてしまった場合には、③裁判による離婚による離婚の成立を目指すことになります。
裁判による離婚が認められる事由は法律上決まっている
裁判による離婚の方法の場合には、法律上離婚が認められる場合に該当する必要性があります。
具体的には、民法770条1項各号で以下のような事由が規定されています。
①不貞行為(民法770条1項1号)
②悪意の遺棄(民法770条1項2号)
③ 3年以上の生死不明(民法770条1項3号)
④回復の見込みのない強度の精神病(民法770条1項4号)
⑤その他婚姻を継続し難い事由(民法770条1項5号)
裁判による離婚の成立を目指す場合には、上記①から⑤の事由が認められることを主張する必要性があります。
逆にいうと、上記①から⑤の事由が認められない場合には、こちら側がどんなに離婚を望んでいても、相手方が離婚に応じない場合には離婚をする事はできません。
不貞行為(民法770条1項1号)
不貞行為の意義については、最高裁判所が昭和48年11月15日に行った判決の中で、以下のように述べられています。
「配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであつて、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと介するのが相当」
上記から、性的関係とまではいえない行為については、不貞行為に該当しないものと考えられます。
例えば、2人きりで食事に行く、メールやLINEなどで親しいやりとりを行う、手をつなぐ、キスをするなどは、倫理上の問題はあるかもしれませんが、少なくとも、法律上は不貞行為に該当せず、離婚原因にならないものと考えられます。
悪意の遺棄(民法770条1項2号)
悪意の遺棄とは、正当な理由が存在しないにもかかわらず、民法752条で規定されている、同居義務、協力義務及び扶助義務に反する行為を配偶者に対して行うことをいいます。
例えば、夫が、妻がいるにもかかわらず、妻以外の女性と同居し、妻に対して生活費を送らない場合や、妻と同居する家に理由もなく長期間帰宅せず、妻を放置し、生活をままならない状態にするような場合などが該当します。
3年以上の生死不明(民法770条1項3号)
3年以上の生死不明とは、読んで字のごとく、3年以上、配偶者が生きていること又は死んでいることが不明な状態のことをいいます。
例えば、配偶者と3年以上連絡を取っていないような場合でも、他の人から、配偶者が生きていることを聞き、配偶者が生きていることがわかっているのであれば、3年以上の生死不明には該当しないものと考えられます。
回復の見込みのない強度の精神病(民法770条1項4号)
強度の精神病というためには、民法752条で規定される協力義務及び扶助義務に従った生活ができないような状況であることが必要となります。
その他婚姻を継続し難い事由(民法770条1項5号)
その他婚姻を継続し難い事由とは、前述の民法770条1項1号から4号に該当しないものの、既に夫婦の婚姻関係が破綻しており、破綻した婚姻関係の回復の見込みがなく、今後婚姻関係を継続していくことが適切ではないような事由のことをいいます。
例えば、以下のような事情が考えられます。
①配偶者の一方が宗教活動に没頭し、婚姻関係の継続が難しいような場合
②性格の不一致や価値観の違いが、極めて大きく、婚姻関係を継続していく事が適切ではないといえるような場合
③性的関係を拒否する・性的に不能である・性的に異常な側面があるなど、へ夫婦の性的な関係に大きな問題がある場合
④配偶者の両親や親戚と不仲であり、良好な人間関係を形成することができず、婚姻生活を継続していくことが適切ではないといえるような場合
⑤不貞行為に該当しないものの、不貞行為に類すると言えるような行為が認められる場合
⑥暴行・虐待・ DV・モラハラなどの事情が認められ、婚姻生活を継続していくことが適切ではないといえるような場合
⑦回復の見込みのない強度の精神病とまではいえないものの精神病が認められる場合やアルコール依存症、薬物依存症等の事情が認められる場合
上記の①から⑦は、1つの例ですが、その他婚姻を継続し難い事由が認められるかどうかは、ケースごとに判断をされるものですので、上記の①から⑦に該当すれば必ず離婚が認められるというわけではありません。
また、上記の①から⑦に該当しない場合でも、事情によっては、離婚が認められる可能性もあります。
まとめ
以上、本記事では、離婚を考えている方を対象に、法律上どのような場合に離婚が認められるかについて説明をしました。
法律上、離婚が認められるかどうかの判断については、法律に明るくない方ですと、一義的に判断できないような場合もあります。また、その他婚姻を継続し難い事由(民法770条1項5号)が認められるかどうかについては専門的な判断が必要となります。
そのため、離婚についてお悩みの方につきましては、お気軽に永島法律事務所までご連絡をいただければと思います。